NEWS&BLOG
NEWS&BLOG

ニュース&ブログ

ブログ
2024.11.03

ハイグロマスター:冷却式と吸湿式の違い

こんにちは。墨田トータルサービス株式会社の田邊です。

今回は、圧縮空気除湿装置(エアドライヤー)における、冷却式と吸湿式(吸着式)の違いについてお話しできればと思います。

圧縮空気を用いた設備やシステムにおいて、除湿は欠かせない工程です。水蒸気を含んだままの圧縮空気は、設備の故障や製品の品質低下を引き起こす原因になります。そのため、効果的な除湿機を選ぶことが求められます。

ハイグロマスターシリーズには「冷却式」と「吸湿式」という異なる除湿方法があり、それぞれの現場環境、用途にあわせた製品を提供しています。

この記事では、冷却式ハイグロマスターと吸湿式ハイグロマスターの基本的な仕組みや特徴、用途について詳しくご紹介します。

導入の際は、現調に基づいて最適なものを私共から改めて提案させていただきますが、二つの除湿方法の違い、選択の指針について、皆様の判断の一助になればと思います。

圧縮空気脱湿脱油装置の導入・変更をご検討中の方は、以下のボタンからお問い合わせください。

冷却式・吸湿式の違い

まずは、冷却式エアドライヤーと吸湿式(吸着式)エアドライヤーの、違いについてお話します。

除湿方式によって分類される

ハイグロマスターは大きく分けて、冷却式と吸湿式の二つに分類されます。これは、除湿方式の違いによるものです。

  1. ・冷却式……冷却によって「空気中の水分を結露させる」ことで除湿する。
  2. ・吸湿式……吸湿材に「水分を吸着させる」ことで除湿する

どちらの除湿方式が最適かという判断は、必要な露点や水分量によって異なります。

冷却式と吸湿式の使い分け

冷却式は大容量の除湿に適しており、吸湿式は小容量の低露点、すなわち低水分の除湿に適しています。

そのため、基本的に冷却式を採用し、低露点が必要な部分だけ吸湿式を用いるといった使い分けをすることが一般的です。

これにより、より効率的に除湿を行うことが可能です。

冷却式の原理・特徴

次に、冷却式の原理と、その特徴についてお話します。

冷却式の原理

冷却式は、エアコンと同じ原理で除湿を行います。

空気は冷やすと相対湿度が上昇し、それが100%を超えると結露が発生します。その結露を取り除くことで、除湿ができるわけですね。

ちなみに、圧縮空気を扱う際、この結露は「ドレン」と呼ばれます。

冷却式の特徴

冷却式ハイグロマスターは、以下のような特徴を持ちます。

  1. ・吸着型に比べて大容量の除湿が可能。
  2. ・吸着型に比べて低コストでの運用が可能。
  3. ・ドレンの発生しないエアー供給が省エネルギーで可能。
  4. ・工場内の冷却水や冷水、井戸水などの余剰冷却源を活用できる。

吸湿式と比較してコストが安価で、一般工場用エアーとしては十分な品質の圧縮空気を得ることができます。

圧力下露点温度10℃から外気温度以下までの環境や、一般工場エアーにおける配管内のドレン滞留対策に最適です。

ただし、塗装や半導体生産、氷点下以下となる環境での屋外配管などでは、不具合が発生する場合があります。

冷却式ハイグロマスター

冷却式ハイグロマスターのラインナップとして、以下が代表的です。

    1. ・AE型
    2. ・-α°DP型
    3. ・T型
    4. ・IP型
    5. ・F型

    それぞれ、使用する水の温度や種類によって異なる型式となっています。

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    ハイグロマスターにおける各シリーズの特徴

    吸湿式の原理と特徴

    次に、吸湿式の原理や特徴について、お話します。

    吸湿式の原理

    吸湿式は、乾燥剤と同じ原理で除湿を行います。

    用いられるのは「乾燥剤」ではなく「吸湿材」と呼ばれ、空気中の湿気を吸着することによって除湿を行います。

    吸湿材は再利用が可能で、この点、一般的にイメージされる乾燥剤とは異なります。そのため、使い捨てることなく安心して使用することができます。

    また、吸湿材の再生にヒーターを用いないタイプは、「ヒートレスドライヤー」と呼ばれます。

    吸湿式の特徴

    吸湿式ハイグロマスターは、以下のような特徴を持ちます。

    1. ・低露点(圧力下露点温度-20℃DP以下)の除湿が可能。
    2. ・温度変化の影響を受けづらく、除湿性能が安定している。
    3. ・一部の型式では、吸湿材の再生時にエネルギー消費を抑える仕組みを採用しており、運転コストを抑えられる。

    吸湿式は、高度な乾燥が求められる場合や、温度変化が激しい環境で使用するのに適しています。

    但し、低露点の圧縮空気を得ることができる反面、導入、運用、メンテナンスのコストが冷却式よりも高くなります。また、埃や塵に対して敏感にならなければならない環境では、吸湿材の飛散するのを防ぐフィルターが必要になる場合があります。

    入口の水分量が多いと装置が大型化していくため、対策として、冷却式で一度除湿を行った後の空気に対して用いることで、より効率的な運用が可能です。

    吸湿式ハイグロマスター

    吸湿式ハイグロマスターのラインナップとして、以下が代表的です。

    1. ・C型(再加熱型)
    2. ・C型(排熱利用型)
    3. ・C型(ヒートレス型)

    それぞれ、吸湿材の乾燥方式によって異なる型式となっています。

    詳しくは、こちらをご覧ください。

    ハイグロマスターにおける各シリーズの特徴

    最適なハイグロマスターをご提案

    弊社は、冷却式と吸湿式、両方のハイグロマスターシリーズを取り扱っております。

    エアドライヤーにおいて重要なのは、除湿の品質である「露点」です。しかし、それと同じくらい大切なのが、お客様のご要望、運用方針に合致した省エネルギーの制御方式です。

    私たちは、現地調査の結果とお客様のご要望の両方を踏まえ、最適な方式をご提案します。

    また、外部の冷却源・加熱源を使用したり、既存の冷却器や加熱器をハイグロマスターに組み込み、冷却式と吸湿式を併用するオールインワン方式の構築も可能です。

    まとめ

    除湿の方式によって、ハイグロマスターシリーズは冷却式と吸湿式の二つに分けられます。

    冷却式は結露させた水分を除湿し、大容量の除湿に適しているという特徴があります。

    対して吸湿式は、吸湿材に水分を吸着させることで除湿します。それによって、高度な乾燥が求められる除湿に適しているという特徴があります。

    また、冷却式と吸湿式を両方使うという構築も可能。両方の利点を活用することで、より効率的な運用が可能になります。

    ハイグロマスターはそれぞれ、用途や導入のための要件は異なります。用途や環境に最適な方式、製品、構築、調整を行うことが、効率的な運用には不可欠です。

    導入を検討中の場合は、ぜひ一度、お問い合わせください。プロの視点から、最も効率的な組み合わせをご提案いたします。

     

おすすめの記事

お問い合わせ
見積り依頼
お問い合わせ