圧力損失を抑え、工場の生産効率を最大化するためのポイント
こんにちは。墨田トータルサービス株式会社の田邊です。
圧縮空気脱湿装置(エアドライヤー)は、製造業における稼働コストに大きな影響を与えます。
そして、圧縮空気の管理・運用を行っていく上で、無視できないのが圧力損失です。
今回は、圧力損失が工場の動力に与える悪影響と、その要因についてお話していきます。
お問い合わせの際の参考になりましたら幸いです。
エアドライヤーの導入・変更をご検討中の方は、以下のボタンからお問い合わせください。
圧力損失が動力費に与える影響
一般的に、吐出圧力が0.1MPa上がると、空気圧縮機(コンプレッサー)の動力費は約7%増加すると言われています。
管末端の圧力を担保しようとして吐出圧力を上昇させた場合、その分が動力費に跳ね返ってくる形です。
そのため、もし0.1MPa分の圧力損失を補おうとした場合、動力費は約7%増えることになります。この動力費は、圧力損失が無ければ発生しなかった追加の稼働コストであり、同時に、圧力損失を減らせば減らすほど、軽減できるコストでもあります。
また、工場の動力費においてコンプレッサーが占める割合は20~30%と言われており、この部分の効率化を図ることは、稼働コストの軽減に大きく貢献します。
動力費を抑えるため高効率・適正な圧力範囲の空気圧縮機を選択すること。加えて、圧力損失を抑えることも、運用上における重要なポイントとなります。
圧力損失の主な要因
圧力損失の主な要因は、
- 1.配管のやバルブの形状
- 2.エアドライヤーの構造
- 3.ドレンの滞留・配管の老朽化
- 4.コンプレッサーの設定圧力
- 5.フィルターの有無
が挙げられます。
1.配管やバルブの形状
配管においては、直線で短く、太い程、圧力損失が少なくなります。反対に、曲りくねって細く、長い配管の場合、圧力損失は多くなります。
バルブはその形状によって、圧力損失の程度に差があります。ボール弁・バタフライ弁・ゲート弁は圧力損失が少なく、グローブ弁(玉形弁)は多くなります。
2.エアドライヤーの構造
エアドライヤーの構造については、大型で構造が単純なほど、圧力損失が少なくなります。
これまで挙げた要素と合わせて、「構造が単純なほど圧力損失は少なくなり、複雑化するほど圧量損失が大きくなりやすい」というイメージで捉えていただくとわかりやすいです。
3.ドレンの滞留・配管の老朽化
滞留したドレンが空気の流路を妨害することも、圧力損失の要因となります。ドレンの滞留量が多い程、空気の流路が狭くなるため、圧力損失は大きくなります。
配管の老朽化による圧力漏れは文字通り、老朽化した配管から圧力が漏れ出し、圧六損失が発生することです。
4.コンプレッサーの設定圧力
先述した要因を見ていく中で盲点となりやすいのが、コンプレッサーの設定圧力です。
小型のコンプレッサーはエアドライヤーと一体型になっていることも多く、圧縮空気の流路も狭いため、装置内での圧力損失が発生しやすくなっています。
この圧力損失を見越して、予めコンプレッサーに高めの空気圧力を設定している場合があります。これが結果的に、稼働コストのロスに繋がります。
こうした圧力損失を軽減すれば、コンプレッサーで生成する空気圧力を最適な値に設定でき、稼働コストの削減に繋がります。
コンプレッサーの設定圧力を最適化するには他にも、圧力損失の少ないホースカップリングやホース、高効率なエアツールの採用するといったアプローチがあります。
5.除湿器内冷却器のフィルターの有無
フィルターの有無も、圧力損失には大きな影響を与えます。
例えば、除湿器内冷却器のプレフィルター(入口フィルター)は0.01~0.05MPa程度の圧力損失が発生します。同じ環境でフィルターを使用しない機種を選定した場合、コンプレッサーの動力費を最大約3.5%削減可能です。
冷却式(冷凍式)除湿器の消費電力は、コンプレッサー動力費の3~4%が一般的。そのため、コストパフォーマンスに優れるエアドライヤーを導入しても、生産システム全体で見た場合に相殺され、コスト削減が実現できないといった現象が起ります。
弊社ではこの圧量損失に着目し、プレフィルターを必要とせず、低動力・低圧力損失の製品を取り扱っております。
圧力損失への対策
既存設備だけで対策仕切るのは難しい要因もありますが、ドレンの滞留や配管の老朽化への対応は、比較的容易です。
また、コンプレッサーやドライヤーを更新する際に、より圧量損失の少ない弁に交換するだけでも、圧力損失を軽減することができます。
もしラインを新設する場合でしたら、初めから圧力損失が最低になるよう、適切なエアドライヤーを選定し、設計していくことがベストな選択肢となります。
まとめ
今回は、圧縮空気の管理・運用を行っていく上で重要となる圧力損失についてお話しました。
基本的な考え方として、構造が単純で大型であるほど、圧力損失が少ないこと。設備を適切な状態に保つことが大切になります。また、エアドライヤーの圧力損失を見逃さないこと、フィルターを使わないエアドライヤーという選択肢があることも覚えておきましょう。
こうした内容を踏まえ、小さな軽減を積み重ねていくことで、圧力損失を防ぐことができるようになっていきます。
弊社は、エアドライヤーを通した、圧縮空気設備の稼働コスト削減提案も行っております。コスト削減についてご検討中でしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。